先日は平城宮跡からカノープスを撮影し、
- 平城宮跡からカノープスを見る
- http://naraphoto.blog.jp/archives/2302924.html
という記事をアップしましたが、今回は奈良公園からの撮影に挑戦しました。
奈良公園では、神社仏閣や奈良県庁などを別にすれば、視界を遮る大きな建物は多くありません。
ですが、低空の視界が開けた場所に恵まれているかといえばそれはまた別の話で、建物の代わりに多くの木が視界を遮ります。
そんなわけで幾つか候補を考えたのですが、今回は飛火野を撮影場所に選ぶことにしました。
(厳密にいえば飛火野は春日大社の境内地)
以下の写真の撮影日はすべて2013年3月3日です。
飛火野の南の風景
[写真1]
まずは昼間の写真からです。
飛火野の御手洗川が流れている辺りは他の場所よりも小高くなっているのですが、その近辺から撮影したもの。
この日は空気が澄んでいて、このように南にある吉野方面の山々がハッキリと見えていました。
グーグルアースなどを使って調べ・計算したところ、これらの山は概ね仰角2度未満に収まるとの結果が出たので、南中時に3.19度まで高度を上げるカノープスは計算上見えるということになります。
(もの凄くおおざっぱにいえば、奈良市内の平野部で、吉野方面の山が見渡せるくらい南の低空の視界が開けた場所であれば、大抵の場所でカノープスの観測が “計算上は” 可能であるといえます)
ちなみにこの写真を撮った16時半過ぎは、まだ低空に雲が残っていましたが、時間を追うごとに雲が少なくなっていくのを確認していたので、暗くなってから再び訪れることにしました。
17時半ごろの飛火野
[写真2]
日没の少し前。
日の入りは17時54分。
雲はまだ少し残っていますが、1時間もすれば消えると予想。
この日のカノープスは
・高度が3度を超えるのが19時09分ごろ
・南中時刻は19時35分ごろ(高度:3.19度)
・高度が3度を下回るのが20時03分ごろ
(いずれも奈良市内のデータ)
南中時のカノープス
[写真3]
地面近くにある点がカノープスです。
大きめの画像はこちら。
今回は他の星もたくさん写ったので星座線入りも作成しました。こちらからどうぞ。
前回は
「この位置に写るのはカノープス以外にありえないからこれはカノープスだ!」
という調子で記事を書いていましたが(笑)、今回はこれだけたくさん写っているので間違いないと言い切れますね。
撮影データは
SS10秒、F5.6、ISO400、焦点距離25mm(フルサイズ換算50mm相当の画角)
です。
前回の写真よりえらく地面すれすれに写ってるような気がするかもしれませんが、画角が全然違いますし(前回は300mm相当+トリミング)、大極殿から朱雀門へは標高が少し下っているのに対し、今回は御手洗川の土手の下から少し見上げる感じで撮影しているため、そのように見えていると思ってください。
ちなみにこの日のカノープスは肉眼でハッキリ見えました。
これには驚きました。
[写真4]
10秒×45枚(合計7分30秒)の比較明合成。
なんでこんな微妙な枚数の合成なのかは、次の写真を見ていただければおおよそ分かっていただけるかと。
[写真5]
10秒×294枚(合計49分)の比較明合成。
撮影時間帯は19時17分~20時07分ごろ。
この49分間に何機の飛行機が通ったか分かりません。
そのせいでせっかくの日周運動の光跡が台無し。
この画像は縮小しているので比較的明るい光跡が数本見える程度ですが、実際はたぶん20本前後は写り込んでます。
ここまで多いとは予想外でした(笑)
というわけで、一つ上の写真は飛行機の光跡が目立たない時間帯だけを抜き出して処理したものなわけです。
そしてこの撮影中、もうひとつ予想外の出来事が起こりました。
土手とカノープスの間に何かが写り込んでいる・・・
[写真6]
問題の部分を抜き出してみました。
カノープスとイノシシ親子のシルエット
[写真7]
撮影中に何かが横切ったような気がしたので、よ~く目を凝らして見ると、
なんと数十メートル先をイノシシ親子がバタバタと走っているのが見えました。
イノシシが出るとは聞いていたけれど、実際に見たのはこれが初めてだったのでかなりびっくり。
しかも親イノシシはかなり大きな体つきだったので、こっちに来ないか冷や冷やモノでしたが、
暫くして道路を横断し浅茅ヶ原へと消えていきました。
それにしてもまさかこんな形で写り込んでいるとは~。
これはこれで驚きです。
そして撮影後、帰宅途中に通った春日大社参道でこのイノシシ親子に追っかけまわされることになるのだが・・・
それはまた、別の話。
orz
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