このブログを始めてから10年が経ちました。

たった10年ではありますが、奈良公園界隈では外国人を中心に観光客が増え、日本人では写真を撮りに来る人も増えました。それ以外でも平城遷都1300年祭、薬師寺や興福寺で大きな工事が完了などなど。

そして若草山でも、この間にとても大きな変化が起きている事をご存知でしょうか。

「大きな変化」とは書きましたが、それは毎年の小さな変化の積み重ねの結果であり、改めて振り返ってみるなどしない限り、なんとなく違和感を感じてはいても、明確には気づきにくいものかも知れません。

ここでいう「若草山に起きている変化」とは「ススキ(の穂)の衰退」と「ナンキンハゼの増加」の事です。今回は主にススキについて取り上げることにします。

※今回はサイズの大きめの画像が多数ありますので、スマホではなくPCでの閲覧を推奨します。

若草山二重目のススキ
写真1
[写真1]
(画像をクリックで拡大)

2011年から2020年までの比較画像です。

これらの撮影は全て昼過ぎから夕方ですが、その日の天気やアングルを完全に統一することは無理ですし、光の当たり具合によってススキの穂のボリューム感はかなり変わってきます。またススキの穂の開き方は年によって結構ばらつきがありますので、その辺も留意が必要です。

(参照)奈良地方気象台:生物季節観測

写真を撮る際、なるべく穂のボリューム感が出るように撮影してしまうので(元々比較用に撮影した写真ではないため)分かりづらいかも知れませんが、手前に広がっているススキの穂の量は2016、2017年ぐらいとそれ以前を比べると目に見えて減ってきているのです。

また特に注目して頂きたいのは日付の下の辺りのススキの量。

2015年から2017年までを比較すると分かりやすいので、次の画像を用意しました。

2015年から2017年の比較
写真2
[写真2]
(画像をクリックで拡大)

赤で囲ったあたりのススキの穂は2017年以降はほぼ消滅してしまいました。

二重目からドライブウェイへ続く道
写真3
[写真3]

写真2で赤で囲ったのがこの道の辺りです。2016年ぐらいまではこの道の両サイドにあふれんばかりのススキの穂が揺らめいていました(当時の写真が出てくれば改めて載せます)。

ナンキンハゼの領域も以前に比べ広がってはいますが、これを見る限りススキ自体は今でもそれなりにあるようです。

つまりススキはあるが穂が開かなくなっているという事ですね。原因は不明ですが、猛暑・温暖化などによる環境の変化や鹿による食害の可能性が考えられます。

余談ですが以前はもう少し奥まで入る事が出来ました。この立ち入り禁止の柵は確か昨秋(2019年)設けられたものだったと思います。元々一般人は通り抜け禁止でしたが、観光客が増えて迷い込む人などが増えたため設置したのではないかと。

撮影アングル
写真4
[写真4]
(画像をクリックで拡大)

蛇足ですがここまで3枚の画像の撮影アングルを記しておきます。

写真1が青、写真2も同じく青ですが、赤で囲った部分は山頂から見るとこのようになっています。そして写真3は黄色の矢印。

次からは一重目の写真を見てみましょう。

2011年の若草山一重目
写真5
[写真5]

このころのフェンス近くにはススキやシダがたくさん生えていました。ナンキンハゼはまだそれほど見当たりません。

2014年
写真6
[写真6]

僅か4年でナンキンハゼが増えてきました。このころ一重目の売店のご主人にお話を伺ったところ、ナンキンハゼが増え始めたのはこの4,5年ぐらいのことだとおっしゃっていたので、多分2010年前後から増え始めたのだと推察します。

2020年
写真7
[写真7]

フェンス際はほぼナンキンハゼの幼木に覆われてしまいました。この数年はほぼ同じ状況です。

3,4年前に重機を入れるなどしてこのエリアのナンキンハゼを除去したことがあったのですが、またすぐにこんな状態になってしまいました。

次は一重目と二重目の間の尾根道から一重目を見た写真で比較してみます。

2014年と2020年
写真8
[写真8]
(画像をクリックで拡大)

2014年もナンキンハゼの量は多いですが、斜面(日陰になっているところなど)にススキの白い穂がかなり見えるのはお分かりになるでしょうか。2020年にはそれは殆ど確認できません。

2014年
写真9
[写真09]

2016年
写真10
[写真10]

このようなススキの風景も年々減ってきてはいたもののこの年ぐらいまではなんとか見られたのですが、最近数年は殆ど見られません。

最初はナンキンハゼの増殖のあおりを食ってススキが減っているのではないかと思っていたのですが、これらのナンキンハゼは毎年11月ごろには伐採されており、画像を比較してみると、範囲そのものはそれほど広がっていない可能性もあると思うようになりました(ここら辺は後日に記事作成予定)。

またススキ自体はかなりの量が残っており、穂が出ないものが多くなっているという印象。ここら辺は私も撮った写真を比較してあれやこれや考えているだけであり全くの素人ですから、是非とも専門家に調査をして頂きたいところです。

今回は扱いませんでしたが、山頂や鶯塚古墳の周りでも同様にススキの穂が減少しています。

よく言われるのは観光客増で地面が踏み固められる等して生育に悪影響を及ぼすという話ですが、若草山に関していうと、写真10のような斜面にはほとんど人は入りませんが、それでも他のエリアと同様に(同時期に)ススキの穂が減少していますから、その影響があったのかは疑問です。

簡単にまとめると、2010年代、山全体で徐々にススキ(の穂)が減り、エリアによっては2017年以降激減している、ということになります。

2017年に何かありましたっけ? 奈良公園界隈で大量に木が倒れる被害をもたらした台風は2018年の事でしたし、ススキの生育を妨げるインパクトのある現象というのも特に思いつきません。鹿が急に増えたわけでもない。

ナンキンハゼにしても何十年も前から奈良公園には存在するのに、なぜ近年になってこのように急に若草山で増え始めたのか(カラスが怪しいとは思いますが)。

ナンキンハゼの紅葉はとても美しく私も好きですが、これは本来の若草山の風景ではありません。

次の10年後、若草山の風景はどう変わっているのでしょうか。ススキの風景が戻っていることを願ってやみません

※ 当ブログ内の画像・その他記事内容の無断転載を禁止します ※
(二次利用については「「NARA-Photo」について」へ)

★応援クリックお願いします♪